1.適用範囲
この規格は、主として玉軸受の転動体として用いる鋼球(スチールボール)について規定する。
2.用語、量記号及び用語の意味
この規定で用いる主な用語、量記号、及び用語の意味は、次による。
(1) |
呼び |
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鋼球の寸法が一般的に同一であることを示すのに用いる呼称。 |
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(2) |
呼びの直径、Dw |
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鋼球の寸法が一般的に同一であることを示すのに用いる直径の値。 |
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(3) |
直径、Dws |
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1個の鋼球の実際の表面に接する平行二平面間の距離。 |
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(4) |
平均直径、Dwm |
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1個の鋼球の直径の最大値と最小値との算術平均値。 |
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(5) |
直径不同、VDws |
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1個の鋼球の直径の最大値と最小値との差。 |
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(6) |
真球度 |
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鋼球の表面に外接する最小球面と鋼球表面の各点との半径方向の距離の最大の値。 |
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(7) |
ロット |
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等しいと考えられる条件の下で製造され、同一品として取り扱う一定数量の鋼球。 |
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(8) |
ロットの平均直径、DwmL |
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ロットの最大鋼球の平均直径と最小鋼球の平均直径との算術平均値。 |
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(9) |
ロットの直径の相互差、VDWL |
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ロットの最大鋼球の平均直径と最小鋼球の平均直径の差。 |
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(10) |
等級 |
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寸法、形状の精度、表面粗さ及び区分けの精度の特定の組み合わせ。等級は番号で表す。 |
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(11) |
ロットの平均直径の寸法差、△DwmL |
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ロットの平均直径と呼び直径との差 |
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(12) |
ゲージ、S |
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ロットの平均直径の寸法差であって、予め等級ごとに定められた系列の値の一つ。 |
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(13) |
ゲージ間隔 |
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等級ごとに定められた、相隣るゲージの差。 |
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3.呼び及び呼び直径
鋼球(スチールボール)の呼び及び呼び直径は、原則として寸法表による。
4.等級
鋼球(スチールボール)の等級は、3.5.10.16.20.28.40.60.100及び200とする。なお、それぞれの等級を適用する呼びの範囲は、原則として等級表による。
5.品質
5-1 |
形状及び表面粗さ |
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鋼球の直径不同、真球度及び表面粗さは等級表による。 |
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5-2 |
区分けの精度及びゲージ |
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鋼球のロットの直径の相互差、ゲージ間隔及びゲージは等級表による。 |
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5-3 |
硬さ |
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鋼球の硬さは、硬さ表による。 |
6.材料
鋼球(スチールボール)の材料は、JIS G 4805(高炭素クロム軸受鋼鋼材)による。
7.測定方法及び試験方法
7-1 |
平均直径及び直径不同 |
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平均直径及び直径不同を求めるのに必要な直径は、鋼球1個を平面とこれに垂直な測定子との間に置き、方向を変えて測定する。
平均直径は、その最大値と最小値との算術平均値として求め、直径不同は、その最大値と最小値との差として求める。
この場合の測定力は、3N{360gf}以下とする。
平均直径は、測定力による弾性接近量を補正し、また鋼球の質量による弾性接近量も原則として補正する。 |
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7-2 |
真球度 |
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真球度は鋼球1個を真円度測定器で互いに90度になす2又は3赤道平面上の鋼球表面の輪郭を測定し、それぞれの最小外接円から鋼球表面までの半径方向の距離の最大の値として求める。
また鋼球1個を角度90度及び120度のV溝とこれに垂直な測定子との間に置き、方向を変えて測定したときの測定子の動きの最大の値を2で除した値を真球度としてもよい。
この場合の測定力は、3N{360gf}以下とする。 |
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7-3 |
表面粗さ |
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表面粗さに関しては、原則としてJIS B 0651(製品の幾何特性仕様(GPS)-表面性状輪郭曲線方式-触針式表面粗さ測定器の特性)に規定する測定器を用いて鋼球の赤道上を測定し、中心線平均粗さとして求める。 |
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7-4 |
ロットの直径の相互差及びゲージ |
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ロットの直径の相互差は、ロット内の最大鋼球の平均直径と最小鋼球の平均直径との差として求める。ゲージは、ロットの平均直径の寸法差が等級表に規定するゲージのうち最も近い値として求める。 |
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7-5 |
硬さ |
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呼び0.3mm〜3mm及び0.025〜7/64の鋼球の硬さ試験は、JIS Z 2244(ビッカース硬さ試験-試験方法)による。
呼び3.5mm〜65mm及び1/8〜41/2の鋼球の硬さ試験はJIS Z 2245(ロックウェル硬さ試験-試験方法)による |
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8.検査
鋼球(スチールボール)の検査は、形状、表面粗さ、区分けの精度、ゲージ及び硬さについて行い、5.の規定を満足しなければならない。
9.呼び方
鋼球(スチールボール)の呼び方は、名称、呼び、ゲージ及び等級による。
例1:玉軸受用鋼球 3mm+3μm 等級10
例2:玉軸受用鋼球 3/8-4μm 等級40
10.包装及び表示
10-1 |
包装 |
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鋼球は、油脂その他によってさび止めした後、適当な容器に収める。 |
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10-2 |
表示 |
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容器の表面に次の事項を表示する。
(1)名称
(2)呼び
(3)ゲージ
(4)等級
(5)数量
(6)製造業者名又はその略号
(7)製造年月日
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